ロボット

310 SUGV(Endeavor Robotics社製)1号機R/Bウェルプラグ調査2019年6月27日
110 Firstlook(Endeavor Robotics社製)1号機R/Bウェルプラグ調査2019年6月27日
BROKK 100D(米BROKK社製)2号機R/B残置物移動片付け 2018年7月19日
BROKK 400D(米BROKK社製)2号機R/B残置物移動片付け 2018年7月19日
柔構造アーム(筋肉ロボット)3号機T/B地下階たまり水移送装置設置に先立つ干渉物撤去 2019年9月30日、10月3日

1号機主な作業

建屋たまり水処理
T/B地下階床面露出 2017年3月29日(3月29、30日参照)

1Fで働く人の被曝線量の状況

2019-05-07 作成

「1Fでの作業は被曝線量が高いために許容される線量をすぐに超えてしまい、作業者が不足している」という話を時々見聞きするんだけれど、実際にどうなのか見てみます。

1.被曝線量の状況

1Fで放射線管理区域に入って仕事をしている人たちの被曝線量については、東電から毎月厚労省へ「福島第一原子力発電所作業者の被ばく線量の評価状況」という報告が出ていて、東電のウェブサイトでも公開されている。通常は前月の実績が掲載されるが、四半期ごとに2011年3月以降のデータをまとめたものが付いてくる。2019年5月7日現在での最新は4月24日付のもの。この中から、各年度ごとの被曝線量(実効線量)の分布(資料の表11)を抜き出して表にまとめてみた(ただし、2018年3月のデータは暫定値なので、来月の確定値では多少の変動があるかもしれない)。表中、「区分」とあるのは線量の区分で、その区分の線量を被曝した人の数を示してある。

事故直後の2011年度は被曝線量の最大値も全体の平均値も他の年度と比べて飛び抜けて高く、また、50mSv以上の被曝をした人も多い。2012年度以降は、最大値、平均値ともにぐっと下がっており、50mSv以上の被曝をした人は2012年度の1人だけ。これをグラフにしたのが下の図。


棒グラフは各年度の人数(凡例は左下・左目盛)を、折れ線は各年度の平均値(青丸・右目盛)を表す。
2014年に作業者数が大きく増えているのは、この年に始まった凍土遮水壁の設置工事に人数が必要だったため(凍土遮水壁設置工事は、現場が線量の高い1-4号機建屋周辺であり、作業者の被曝線量低減が大きな課題とされていた。実際に、被曝線量が5mSv以上と比較的高い人は前年度よりも増えているが、その割合は前年に比べてわずかに減っている(33%→32%))。
「20-50」は2014年度をのぞいて年々減少傾向で、2018年度は0人となった。全体として高い線量の被曝をする人は減ってきており、被曝の状況は年々改善されていると言えると思う。

2.線量限度

放射線管理区域内で働く人の被曝線量は法律によって上限が定められている(線量限度)。実効線量については「5年間で100mSv、かつ、1年間で50mSv」となっている*1
実際に1Fで作業する人の場合は「1年間で20mSv」を目標に管理がなされている。この目標を超えなければ、線量限度を超えることがないから、ずっと1Fで働き続けることができる。さっきのグラフを見ると、すべての年度で、「1以下」、「1-5」、「5-10」と線量が高くなるにしたがって人数が減ってくるのに、「10-20」になると「5-10」とほぼ同じか、かえって増えている。そして「20-50」で再び減っている。これは、被曝線量が「20mSv」を超えないように管理している結果と思われる。
単年度で20mSvを超えることがあっても、他の年度での被曝線量を抑えれば、「5年間で100mSv」以内に納めることができる。これに該当する「20-50」の人の割合は、2014年度で5%、それ以降も減少しており、大きな割合ではない。
年間50mSvを超える被曝をした人はその時点で線量限度を超えてしまうが、そういう人は2012年度の1人が最後で、それ以降の年度にはいない。
被曝線量が5mSv以下の人の割合は年々増加しており、2011年度で全体の半分、2016年度以降は8割を超えている。これらの人達の被曝線量は、線量限度に対して十分な余裕があり、継続して1Fで働くことに全く問題がないと思われる。

以上のことから、最近では1Fで作業している人で線量限度を超える人はほとんどいないことがわかる。したがって、1Fで人手が不足しているとしたら、それは被曝線量が高いという理由ではなく何か他の理由がある、ということになるのだと思う。

*1: ただし、2011年度だけは、緊急時ということで一時的に線量限度が引き上げられた


以下の私の連ツイも参考にどうぞ。









サブドレン他水処理施設による放射能放出量

2017年6月1日作成

2018年11月18日最終更新

サブドレン他水処理施設の処理水排水による海洋への放射能(トリチウム (3H)と90Sr)放出量を積算していきます。
第1回目の排水は2015年9月14日。2018年9月末までの合計排水量は 605,737m3

2018年9月末までの
  トリチウム放出量: 4.4×1011 Bq
  90Sr放出量:< 3.6×106 Bq*
* 排水中の90Sr濃度の分析値が検出限界値未満の場合は、検出限界値を濃度として計算しています。したがって、この数値は実際の放出量ではなく、放出量の上限を与えるものです。

放出量は、排水した処理水の放射能濃度と排水量をかけ合わせて求めます。サブドレン他水処理施設はほぼ毎日排水をおこなっているので、地下水バイパスのように各排水ごとの排出量は求めません。毎月の加重平均サンプル(加重平均サンプル:その月に実施した排水ごとに保存しておいたサンプルを、各回の排水量実績に比例した割合で混ぜた物)の分析結果が出た時点で、それまでの排出量を求めます。90Srの分析に約1ヶ月を要するので、加重平均サンプルの分析結果が出るのは翌々月になります(たとえば、2017年3月の加重平均サンプルの分析値は5月12日に公表された)。
トリチウムの放出量は

加重平均サンプルのトリチウム濃度(単位:Bq/L、第三者機関による分析値)×その月の合計排水量(単位:m3、分析値に添付される各一時貯水タンクの累計排水量の合計)×1000

で求めます。
90Srも同様です。分析結果が検出限界値未満の場合は、検出限界値の濃度の放射能を含むものとして扱います。


参考:
地球上に存在するトリチウムの総量は1.3×1018Bq*1。また、1年に7.2×1016Bqのトリチウムが大気上層で宇宙線により生成される*1。トリチウムの半減期は12.3年で、ベータ崩壊する。
成人の経口摂取によるトリチウムの実効線量係数は有機結合型(体内の組織に有機化合物として取込まれた状態)で4.2×10-11Sv/Bq(体内で水として存在する場合は1.8×10-11Sv/Bq)*2
90Srの実効線量係数は2.8×10-8Sv/Bq、137Csは1.3×10-8Sv/Bq、(いずれも成人)*3
*1 UNSCEAR 2000 REPORT Vol. I, Annex B(Table 4に数字がある)
*2 トリチウムの環境中での挙動 (09-01-03-08) - ATOMICA -
*3 国際放射線防護委員会(ICRP)の放射性核種の体内摂取に伴う線量評価モデルについて

サブドレン他水処理施設に関する資料:
2015年9月2日 海洋汚染をより確実に防止するための取り組み(PDF 3.53MB)(PDF。2015年9月2日会見資料)
14頁以降にサブドレンおよび地下水ドレンの運用方針(運用目標:15頁、運用目標を超えた場合の対応:16頁)。


加重平均サンプルの分析結果(*がついている月は、分析結果に検出限界値未満を含む)
月, トリチウム濃度(Bq/L), 90Sr濃度(Bq/L), 排水量(m3)
9月*, 440, 0.0049, 4025
10月*, 280, 0.0043, 12070
11月*, 220, 0.0056, 9340
12月*, 230, 0.0051, 14537
1月*, 280, 0.0058, 14994
2月, 580, 0.0072, 15492
3月, 790, 0.0079, 16207
4月*, 830, 0.0051, 15885
5月*, 660, 0.0056, 19056
6月*, 590, 0.0061, 19067
7月*, 470, 0.0055, 19743
8月*, 410, 0.0050, 17978
9月, 530, 0.0073, 20597
10月*, 450, 0.0073, 16854
11月*, 480, 0.0067, 18774
12月*, 630, 0.0068, 18987
1月*, 630, 0.0050, 15035
2月, 910, 0.0086, 12826
3月*, 900, 0.0063, 18844
4月*, 950, 0.0066, 18756
5月*, 920, 0.0053, 18601
6月*, 930, 0.0057, 18826
7月*, 890, 0.0059, 17745
8月*, 960, 0.0049, 22895
9月*, 940, 0.0063, 20151
10月*, 950, 0.0057, 20394
11月*, 800, 0.0059, 23965
12月*, 790, 0.0056, 15469
1月*, 800, 0.0056, 11087
2月*, 790, 0.0058, 10092
3月*, 820, 0.0054, 12732
4月*, 830, 0.0064, 12949
5月*, 900, 0.0064, 14022
6月*, 990, 0.0053, 16775
7月*, 910, 0.0064, 17456
8月*, 850, 0.0071, 17984
9月*, 1,000, 0.0048, 15527

地下水バイパスによる放射能放出量

2014年6月15日作成
2017年5月31日改訂

2018年11月18日最終更新

地下水バイパスの地下水排水による海洋への放射能(トリチウム (3H)と90Sr)放出量を積算していきます。
第1回目の排水は2014年5月21日。2018年11月15日の247回目排水までの合計排水量は424,428m3

2018年11月15日までのトリチウム放出量:6.2×1010 Bq
2018年9月末までの90Sr放出量:< 2.5×106 Bq*
* 排水中の90Sr濃度の分析値が検出限界値未満の場合は、検出限界値を濃度として計算しています。したがって、この数値は実際の放出量ではなく、放出量の上限を与えるものです。

放出量は、排水した地下水の放射能濃度と排水量をかけ合わせて求めます。ここで使用する放射能濃度分析は、一時貯留タンク貯留水の分析(排水ごと)と、加重平均サンプルの分析(月1回)の2種類があります。加重平均サンプルとは、その月に実施した排水ごとに保存しておいたサンプルを、各回の排水量実績に比例した割合で混ぜた物を言います。90Srは加重平均サンプルでは分析しますが排水ごとには分析しません(分析に手間暇がかかるため)。トリチウムはいずれも分析します。90Srの分析には約1ヶ月を要するので、加重平均サンプルの分析結果が出るのは、翌々月の初め頃になります(たとえば、2014年5月の加重平均サンプルの分析値は7月3日に公表された)。
トリチウムは、排水ごとの放出量を積算します。排水ごとのトリチウム放出量は、

一時貯留タンクのトリチウム濃度(単位:Bq/L、第三者機関による分析値)× 排水量(単位:トン、排水時の発表)×1000

で求めます。ただし、加重平均サンプルの分析値が出た月については、

加重平均サンプルのトリチウム濃度(単位:Bq/L、第三者機関による分析値)×その月の合計排水量(単位:m3、分析値に添付されるタンクグループごとの累計排水量の合計)×1000

でその月の放出量を求め、排水ごとの放出量の積算を置き換えます。
90Srは、加重平均サンプルの分析結果が出るごとに積算していきます。放出量の求め方はトリチウムと同じです。
分析結果が検出限界値未満の場合は、検出限界値の濃度の放射能を含むものとして扱います。


参考:
地球上に存在するトリチウムの総量は1.3×1018Bq*1。また、1年に7.2×1016Bqのトリチウムが大気上層で宇宙線により生成される*1。トリチウムの半減期は12.3年で、ベータ崩壊する。
成人の経口摂取によるトリチウムの実効線量係数は有機結合型(体内の組織に有機化合物として取込まれた状態)で4.2×10-11Sv/Bq(体内で水として存在する場合は1.8×10-11Sv/Bq)*2
90Srの実効線量係数は2.8×10-8Sv/Bq、137Csは1.3×10-8Sv/Bq、(いずれも成人)*3
*1 UNSCEAR 2000 REPORT Vol. I, Annex B(Table 4に数字がある)
*2 トリチウムの環境中での挙動 (09-01-03-08) - ATOMICA -
*3 国際放射線防護委員会(ICRP)の放射性核種の体内摂取に伴う線量評価モデルについて

地下水バイパスに関する資料:
福島第一原子力発電所 地下水バイパスについて(PDF 2.54MB)(2014年5月20日福島県廃炉安全監視協議会資料)
地下水バイパスのために汲み上げた地下水が運用目標等以上となった場合の対応方針(PDF 87.4KB)(同上)
地下水バイパスの排水基準について(PDF 29.5KB)(2014年2月3日会見資料)
福島第一原子力発電所でのトリチウムについて(PDF 475KB)(2013年2月28日会見資料)


加重平均サンプルの分析結果(*がついている月は、分析結果に検出限界値未満を含む)
月, トリチウム濃度(Bq/L), 90Sr濃度(Bq/L), 排水量(m3)
5月, 200, 0.025, 1202
6月, 150, 0.013, 7433
7月, 290, 0.0078, 9156
8月*, 270, 0.0050, 11843
9月*, 180, 0.0050, 9387
10月*, 170, 0.0052, 9418
11月*, 120, 0.0066, 8911
12月*, 100, 0.0055, 8487
1月*, 130, 0.0046, 9699
2月*, 150, 0.0059, 8255
3月*, 130, 0.0059, 7410
4月*, 110, 0.0057, 7428
5月*, 100, 0.0051, 7867
6月*, 92, 0.0059, 6252
7月*, 90, 0.0054, 4149
8月*, 120, 0.0048, 7607
9月*, 150, 0.0049, 9792
10月*, 180, 0.0052, 8055
11月*, 160, 0.0058, 6547
12月*, 160, 0.0054, 8579
1月*, 140, 0.0048, 7220
2月*, 160, 0.0060, 5812
3月*, 210, 0.0064, 7030
4月*, 180, 0.0053, 5538
5月*, 180, 0.0058, 7939
6月*, 180, 0.0065, 6241
7月*, 190, 0.0045, 6458
8月*, 160, 0.0051, 8165
9月*, 150, 0.0054, 7032
10月*, 170, 0.0077, 8244
11月*, 150, 0.0067, 10094
12月*, 140, 0.0069, 7422
1月*, 150, 0.0052, 9030
2月*, 140, 0.0063, 6951
3月*, 130, 0.0065, 6233
4月*, 130, 0.0069, 7156
5月*, 130, 0.0053, 8973
6月*, 130, 0.0061, 7107
7月*, 120, 0.0064, 8895
8月*, 120, 0.0053, 9355
9月*, 130, 0.0062, 7228
10月*, 130, 0.0056, 7650
11月*, 120, 0.0054, 9980
12月*, 130, 0.0060, 7755
1月*, 120, 0.0056, 7787
2月*, 120, 0.0061, 7218
3月*, 110, 0.0057, 8815
4月*, 110, 0.0068, 7282
5月*, 120, 0.0065, 8927
6月*, 130, 0.0051, 7014
7月*, 120, 0.0066, 7152
8月*, 120, 0.0073, 8983
9月*, 130, 0.0048, 7239

地下水バイパス排水の履歴
日付, タンク名, トリチウム濃度(Bq/L), 排水量(2016年2月23日まではt、それ以降はm3), トリチウム放出量(Bq)
5/21, Gr1, 240561, 1.3E+08
5/27, Gr3, 150641, 9.6E+07